福岡、佐賀、長崎、熊本の九州四県にまたがり、干満差日本一で、
日本の干潟全体の四割にも相当する広大な干潟を抱える有明海。
生物の多様性に溢れ、自然の恵み豊かな有明海は、海苔の一大産地としても知られている。
有明海で生産される有明海苔の最大の特徴はその品質の高さだ。
最大6メートルを超える潮の干満差を使い海の栄養分と太陽光を交互に取り込み、
うまみを最大限に凝縮した有明海苔は、日本屈指のブランド海苔となっている。
有明海苔の養殖はまず、海苔の種となる「糸状体(しじょうたい)」の培養から始まる。
春先に牡蠣殻に糸状体を付着させ、水槽に入れて培養する。
紐で括られた牡蠣殻が干し柿のように棒に吊るされ、水槽に浸される。
浸された牡蠣殻は水温が厳しく管理され、秋の種付け解禁日まで培養される。
今回取材をさせて頂いた海苔生産者は、家業の海苔づくりを継ぎ、二代目として海苔づくりに勤しんでいる。
水槽の水温管理は特に重要な仕事で、生産者は暇さえあれば水槽へ行き、水温をチェックしている。
ある時、生産者達は知人に水槽の水温管理の大変さを話した。
水温を常にチェックしなければならず、水槽から離れられないというのだ。
すると知人から、それならloTで水温管理を行えばどうだというアイデアが出てきた。
生産者と知人は意気投合し、紆余曲折の末アソディーノグループが開発した「DOKONA」に到達した。
「DOKONA」は生産管理に特化した小型IoTデバイスだ。
Wi-Fi経由でクラウドへリンクし、水温などの遠隔管理を行い、情報を収集する。
集めたデータはビッグデータ化して生産性向上に活用出来る。
水温などの情報もリアルタイムでスマホで確認出来る。
「DOKONA」で水槽の水温管理を行うようになり、生産者達は水槽に密着する必要がなくなった。
異常時には「DOKONA」がスマホへアラームを送ってくれる。
今後、糸状体の培養だけでなく、種付け後の水中の海苔の管理や、
摘み取り後の乾燥にもIoTを活用する事を考えているという。
今や日本の大切な食ブランドとなった有明海苔を、IoTの技術が静かに支えている。